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ナンバース概要 音楽付きの解説はこちら

ト・ヘンがプロデュースする「ナンバース」は、知識や経験を全く必要としない、ユビキタス時代の音楽自動生成システムです。
これは作曲家佐野芳彦考案による「サウンドセル」という音楽のパーツを、「情報」に基づいて組み立てるという概念に基づくもので、「音楽のレゴ」と言い換えることができます。
この「情報」は、例えばメールアドレスやヒトゲノムから各種センサーによるデータに至るまで、アプリケーションによって自由に設定することが出来ます。
さらに、外部機器や外部の事象と音楽を関連付けたり、インタラクティヴに音楽を生成することも可能です。
これは「特定の情報に固有な音楽」「リスナーがその内容に関わる音楽」という、これまでにない「音楽の新しい在り方」を示唆しています。

ナンバースにはもう一つ、サウンドセルの供給・蓄積によって進化し続けるという大きな特徴があります。
また、バイオテクノロジー、ライフサイエンステクノロジーと一体になった「作物の育成促進システム」や、特定の個人のための「究極の癒し音楽」も視野に入ります。

映像機器・アプリケーションの発達には目を見張るものがあり、ハイクォリティーなコンテンツ制作環境を既に多くの人々が手にしています。
その一方で、ユーザーが簡単に音楽を創ることのできるシステムやサービスは未だありません。

今年も膨大な数の新しい音楽が市場に溢れることでしょう。
しかしその中に、「個人のために創られた音楽」は一曲もありません。
ナンバースは、これまで作曲家の頭の中で密かに行われて来た COMPOSE(作曲する=構成する)という行為を、一般に開放すると同時に、全く新しい音楽市場を開拓するビジネスモデルです。




情報と音楽の未来


今日、音楽は享受するものと受け止められている。多くの人にとって、簡単には扱えないという暗黙の了解がある。
17世紀以降のヨーロッパにおいて、音楽はその内容を飛躍的に発展させた。それは高度な専門家を生み出すと同時に訓練なくして音楽を創ることは出来ないという今日的な了解を作った。

情報技術を用いてその「音楽の在り方」を変えることが出来る。個に向けた音楽、自ら内容に関わりを持つ音楽、何かの事象にインタラクティヴに反応する音楽など、新たに別な価値を持つ音楽である。

情報で音楽を創る試みは、これまでうまくいったわけではない。その一方で、音楽の定量化である音符や楽譜は大きな発展を遂げた。
音符や楽譜すなわち音楽の視覚化と、鍵盤楽器や12平均律の登場は、PCM録音が始まる遥か前の出来事であるが、その時すでに音楽はデジタル化していたと言える。

デジタル化とは抽象化のことである。
今日音楽を扱いにくくしているのは、音符や楽譜による抽象化である。
元々意味のない抽象の単位を集めて新たに「感動」を創り出すことは、人間にとってもコンピュータにとっても極めて難しい。

「今、歌が飛んで来るのを待っているから」と言ったのは、くまのプーさんである。これは20数年間の作曲生活を経て、今僕が感じている実感、「全ての音は既に漂っている。僕はただ、それを捕まえて並べ替えているのではないか」という思いに極めて近い。

音楽を扱い易くするには、音符の単位に抽象化された音を再構成し、「既に音楽として意味を持つ新しい単位」を創れば良い。そして、いつでもどこにでも飛んで来るように、その単位を準備しておけば良い。
僕はそれを「サウンドセル」と呼ぶ。

サウンドセルを一言で表わせば「音楽のレゴ」であり、その集まりは「音楽の慣用句辞書」である。

佐野芳彦


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